脂肪肝は近年、食の欧米化に伴い増加してきている病気です。病理学的には肝臓の細胞の30%以上に脂肪が沈着した状態をいいます。日本で健康診断を受ける方の男性の30%、女性の10%が脂肪肝を指摘されています。皆さん聞き慣れた言葉で、たかが脂肪肝かと思うと思いますが、脂肪肝は進行すると慢性肝炎や肝硬変、肝癌の原因になることがあります。また脂肪肝の進行したNASH(非アルコール脂肪肝炎)では動脈硬化や心筋梗塞の発症率が増加すると言われており、脂肪肝と言われた場合には高血圧、脂質異常症、糖尿病と同じように注意する必要があります。
血液中の中性脂肪が増える |
懸念される生活習慣病
●糖尿病 ●心筋梗塞 ●高血圧 ●脳梗塞 ●腎臓病 ●認知症など |
血液中の中性脂肪が増える |
懸念される生活習慣病
●糖尿病 ●心筋梗塞 ●高血圧 ●脳梗塞 ●腎臓病 ●認知症など |
高血圧、糖尿病、脂質異常症などと同じで症状がなく進行して、肝臓は『沈黙の臓器』と言われ、病気が進行するまでは症状が出現しません。
肝硬変まで進行すると倦怠感、食欲低下、黄疸、腹部膨満感などの症状が出現することがあります。
また脂肪肝は糖尿病や心筋梗塞、高血圧などの生活習慣病との関連も報告されています。
病理学的には肝臓の細胞の30%以上に脂肪が沈着した状態をいいますが、肝臓の組織をとる肝生検は体への負担も大きく、多くは超音波やCTなどで診断されています。
注意点として肝機能異常があり、超音波で脂肪肝の所見があっても、実は肝機能異常の原因はB 型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎の場合や薬剤性肝障害、自己免疫性肝炎というような病気の可能性もあるので一度医療機関を受診しましょう。
食事習慣の改善、運動などを行い、減量が治療になります。欧米でよく行われる減量を目的とした肥満手術でも著明に脂肪肝は改善を認めており減量はとても大切です。様々な研究はありますが5-10%の減量が有効です。
脂肪肝に対する特効薬は現時点ではありません。一部の糖尿病の薬は体重減少効果や脂肪肝に有用であるという報告があり、今後脂肪肝の方にも適応が広がっていくかもしれません。
脂肪肝は心臓や動脈硬化との関連もあり、体の不調の現れであり、治療すべき病気です。
脂肪肝だと思っていたら脂肪肝ではなく別の肝臓の病気の可能性があるので一度医療機関を受診しましょう。